ハンドメイドのST LINK光ケーブル(1.1m) です。
WADIAや、Esoteric製トランスポートやDACで、一時期、頻繁に採用されていた、ST LINK用光ファイバーケーブルです。
EMM Lab、dcs、Mark Levinson、アキュフェーズやセータの製品の一部でも採用されていたと思います。
ST端子がある場合、TOSや、同軸より音が良いと言われています。
今は知る得る限り、オーディオ用としては作られていないので自作いたしました。
使いやすい長さの、約1.1mメートル長(プラグ含まず)です。
今回、より上質な音を目指してAT&T製のビンテージプラグを採用いたしました。
プラグリングが固定で、内部のフェルールと光ファイバー側が回転し接合する特殊な手の込んだプラグです。
ブーツも他社よりも硬質なゴムで、厳重にプラグの防振に気を使っていることが見て取れます。
挿抜のフィーリングは、しっかりとしながら独特の滑らかさのあるものです。
フェルールは精度が高く、他社に先駆けたジルコニアセラミック製(熱膨張や摩耗しにくい)、挿入損失は0.3dbです。
この時代の物は稀少で入手困難です。より古いWestern Electric製とはローレットの刻み方が違います。
プラグは袋に入った新品を使いましたが、時代を経た物なのでちょっとビンテージ感があります。
このコネクターを、古河電気の工具で下処理し、AT&Tの圧着工具や、ルビー製クリーバー、
米3Mの研磨フィルムなどの専用工具を使用して、コネクター処理し、0.3μmまで研磨、
Nikonの実体顕微鏡で検査と、AT&T方式でチェックしています。
光ファイバーは、コーニンググラス社の、これもビンテージの入ったFDDI規格のものを使用しています。
WADIA製のケーブルは62.5μmコア、125μmクラッドマルチモードGIファイバーのFDDIまたはOM1と呼ばれる仕様ですが、
今回はこの中で初期の規格であるFDDI規格を採用いたしました。
FDDI規格は、トークンリングという高信頼が要求される、基幹系業務システムなどで多用されていた物で、
表面的スペックは最新の物に劣りますが、精度、信頼性にかなり気を使ったものです。
互換性はスペック上も全く問題なく、Wadia、Esotericに採用されていた光素子AT&TのODL 50およびODL 50iiと
純正と言えるコンビネーションです。
またパワーメーター測定での光透過パワーレベルはwadia製ケーブルが-6.50dbm(0.223mW=223μW)、本ケーブルが+2.01dbm(1.588mW)でした。
長さの違いはありますが、本ケーブルは相対的にwadia製3mのケーブルより約8.5dbm高い光透過レベルを持っています。
Esoteric P-50s、Wadia 6から15、27への実機テストでも、問題有りませんでした。
これを素材にして、外光の遮光、制震、静電シールドを目的として、手漉きの雁皮(がんぴ)紙で1重巻きにし、
更に米3M社のエンボス銅箔テープを1重巻きし、その上から国産の手引き近江真綿の繊維を手でほぐして、
伸ばして糸状にした物を巻いております。その上にコットン編み組、モノフィラメント編み組を巻き、5重構造にしました。
天然素材での制震は、過度にデッドにならずに素材の響きを生かしてくれるように思います。
雁皮(がんぴ)紙は、海外でも評価の高い歴史のある伝統的和紙で、薄く滑らかで、艶のある紙です。
手漉きの雁皮紙1枚でコピー用紙が1箱買える価格です。
wikipediaの和紙の項目にも
斐紙(
雁皮紙)の記述があります。
もともとは、Western Electricの紙巻き線が、独特の透明感のある紙を巻いていることを参考に致しました。
また手引き真綿(絹)は、最高級の布団などに使われる物ですが、漂白や撚り、染めなど製糸の工程を経ていないため
シルク繊維が長く、柔らかく、光沢や断熱性も高いです。
糸ではないため巻くのは難しいですが、ランダムさによる振動分散と、撚りがほぼ掛かっていないことによるストレス低減を狙いました。
これも、もともとはWestern Electricの絹巻き線が、絹糸でなく繊維(フィラメント)を巻いていることを参考に致しました。
この上から生成のコットン編み組チューブをかぶせています。
未晒しの綿は繊維が長く柔らかく、防振と静電気防止効果が高いと言われています。
末端を、故金子英男先生の推奨だったチュコーフローの4フッ化テフロンテープで止めた後、
更に英国起源のヘラマタイトン社のインシュロックで止め、
福田先生、推奨の同じくヘラマタイトンの編み組チューブをかぶせました。
製品仕様とブランド名は機械漉きの雁皮紙にレーザープリントして、テープ状にして透明な熱収縮チューブをかぶせてあります。
各熱収縮チューブは住友製です。
自作ですが自己ブランド名(A7 CABLE)とシリアルを、非磁性の洋白(ジャーマンシルバー)合金板に刻印して、
ケーブルインシュレーター代わりに巻き付けました。
なお銅箔テープの無用な導通は避けて、端子間は電気絶縁されています。
今回プラグが特殊なため、プラグから出たファイバーに追加でテフロンテープを巻いて動きをスムーズにしました。
素材の参考資料です:
音は解像度が高く、鮮度の高い、骨格がしっかりした力感のある音です。
低域の支えがしっかりして、音場を良く表現します。
Waltz for Debbyでは、背景音と演奏が溶け合った、まるで現場にいるような錯覚を覚えます。
いろいろな盤を聴き直してみましたが、やはり解像度も高いですが、芸術性も高いです。
ケーブルは太めですが硬くはなく、天然繊維主体の柔らかさと適度な重さです。密度感は高いです。
仕上がりはエージング、テストの過程で、和紙印紙テープが千切れやすい、皺になる、被服に毛羽立ち少し有り、
洋白リング、プラグに加工傷が有るなど、丁寧に作ったつもりですがハンドメイドなりで、
それほど精巧ではないのであまり期待しすぎないでください。
付属品は保護キャップ2個、プラグの空き袋、製品概要書1枚です。
おまけで端子クリーニング用の細い綿棒、数本をお付けいたします。
部品も限られ、製作に時間が掛かりますので、追加製作や長さの要望にはなかなか添えません。
到着時の断線等、動作不良は無償修理対応いたします。
自作品にご理解のある方の御入札をお待ちしております。
発送はレターパックライト限定です。